敬語辞典
ビジネスでよく使われる敬語表現の正誤を、用例つきで掲載しています。
敬語の基本 — 尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い (3 分でわかる)
- 尊敬語
- 相手の動作・存在を立てる表現。「いらっしゃる」「ご覧になる」「おっしゃる」など。主語は相手側。
- 謙譲語
- 自分の動作をへりくだって相手を立てる表現。「伺う」「申し上げる」「拝見する」など。主語は自分側。
- 丁寧語
- 相手や話題に関わらず、文末を丁寧に整える表現。「です」「ます」「ございます」など。文体の格式を決める。
二重敬語の見分け方
同種の敬語(尊敬語+尊敬語、謙譲語+謙譲語など)を重ねた表現は二重敬語と呼ばれ、過剰で逆に失礼になります。例:「お伺いします」は「伺う」(謙譲語) +「お」の二重敬語。正しくは「伺います」。詳しくはよくある敬語の間違い一覧を参照。
敬語エントリ一覧
お伺いします
要注意「伺う」は既に謙譲語のため、「お」を付けると二重敬語になります。ビジネスメールでは「伺います」が正しい使い方です。
ご拝見します
要注意「拝見」は謙譲語のため「ご」を付けると二重敬語になります。「拝見します」が正しい形です。
おっしゃられます
要注意「おっしゃる」自体が尊敬語のため、「れる」を付けると二重敬語になります。
ご覧になられました
要注意「ご覧になる」で尊敬の意が完結しているため、「られる」は不要です。
お召し上がりになる
要注意「召し上がる」は尊敬語。「お〜になる」を重ねる必要はありません。
ご査収ください
正しい「査収」は「内容をよく確認して受け取る」意味。添付資料やファイルを送るメールの定型表現です。親しい相手や単に受領を依頼する場合は「ご確認ください」が自然です。
お疲れ様です
正しい社内メール・挨拶の定番。社外に対しては「お世話になっております」が一般的。
お世話になります
正しい社外向けメール・電話の冒頭挨拶として最も一般的。
了解いたしました
正しい文法的には誤りではありませんが、目上・取引先には「承知いたしました」「かしこまりました」の方が丁寧とされます。
承知いたしました
正しい目上・顧客に対する返事として最も丁寧な表現のひとつ。
申し訳ございません
正しいビジネスにおける丁寧な謝罪表現。よりフォーマルには「大変申し訳ございません」。
お伝えください
正しい第三者への伝言を依頼する丁寧表現。より堅い場面では「お申し付けください」。
お取次ぎください
正しい電話や窓口で担当者への取次ぎを依頼する定型表現。
かしこまりました
正しい接客・顧客対応で最もフォーマルな承諾表現。
ご一読の上
正しい資料を読んでから返答を求める定型表現。
お預かりしています
正しい書類・伝言などを自分側で保持している状態を丁寧に述べる表現。
拝受いたしました
正しいメール・書類の受領を伝えるフォーマルな表現。ビジネスで広く使える。
ご対応のほど
正しい行動を依頼する際に末尾に添える丁寧表現。「よろしくお願いいたします」と組み合わせる。
感謝申し上げます
正しいフォーマルな謝意表現。「心より感謝申し上げます」で更に丁寧。
移行
正しい「移り変わる」の意。期日以降を指す「以降」と混同されがち。例: 「新システムへ移行する」「本日以降のご予約」。
以降
正しいある時点よりあとを指す語。「移行」と混同しないよう注意。例: 「来月以降のご予約を承ります」。
ご丁寧にありがとうございます
正しい相手の丁寧な対応に感謝する定型表現。
ご遠慮ください
正しいやんわりと禁止を伝える表現。「お控えください」がさらに柔らかい。
休業させていただきます
要注意「させていただく」は相手の許可を得て行う動作に使う語。一方的な通知には過剰です。通常の通知は「〜いたします」で十分丁寧です。
お皿のほうをお下げします
要注意意味を持たない「ほう」を挟むバイト敬語。対象を曖昧にする効果しかなく、洗練された接客では避けられます。
全然大丈夫です
要注意「大丈夫」は本来、無事や健康を指す語。依頼への応諾や了解として使うとビジネス文では軽すぎます。「問題ございません」「差し支えございません」が適切です。
了解しました
要注意「了解」は本来目上から目下への表現とされ、上司や取引先への返答には「承知いたしました」「かしこまりました」が適切です。社内のカジュアルなやり取りでは問題になりません。
なるほどですね
要注意「なるほど」は本来、同輩以下への同意表現。敬語化して「なるほどですね」と使うのは文法的にも座りが悪く、近年耳障り表現として指摘が多い形です。
お名前様
要注意「お」「様」を同時に付ける接客敬語。「お名前」で既に尊敬の意が含まれるため、「様」は冗長です。
こちらがコーヒーになります
要注意「〜になります」は変化を伴う動作を指す語。変化がないもの(提供する商品そのもの)には「〜でございます」が正しい表現です。代表的なバイト敬語。
(上司に)ご苦労様です
要注意「ご苦労様」は目上から目下へねぎらう表現。目上には「お疲れ様です」を使います。社外の方には「いつもお世話になっております」の方が無難です。
とんでもございません
要注意「とんでもない」は一語の形容詞のため「ない」部分だけを「ございません」に変えるのは誤用。ただし、文化庁『敬語の指針』(2007)は慣用として許容される旨を明示しているため、実務では容認されるケースも多い。
すいません
要注意「すいません」は「すみません」のくだけた形。ビジネス謝罪では「申し訳ございません」「失礼いたしました」が適切です。軽い声がけなら「お手数をおかけします」など。
ご拝読ください
要注意「拝読」は自分が読むときに使う謙譲語。相手にお願いするときは尊敬語の「お読みください」または「ご一読ください」を使います。
お召し上がりください
要注意「召し上がる」自体が「食べる」の尊敬語。「お」を重ねると二重敬語になります。「召し上がってください」が簡潔で正しい形です。
お見えになられました
要注意「お見えになる」がすでに「来る」の尊敬語。「られる」を重ねると二重敬語です。受付・営業の取次ぎでは「お見えになりました」が正しい形。
ご利用になられます
要注意「ご〜になる」と「〜られる」はどちらも尊敬の意で、重ねると二重敬語になります。「ご利用になります」または「利用されます」を選びます。
お調べになられる
要注意「お〜になる」だけで尊敬の意が完成します。「られる」を足すと二重敬語。「お調べになる」「調べられる」のどちらかに統一しましょう。
お読みになられる
要注意「お読みになる」で尊敬の意が完結しているため「られる」は不要。報告書や案内文では「お読みになる」が簡潔で読みやすい形です。
お話しになられる
要注意「お話しになる」で尊敬の意が完成。「られる」を重ねると二重敬語になります。会議録や議事録では「お話しになる」を使います。
お持ちになられる
要注意「お〜になる」+「られる」は典型的な二重敬語。物の所有や持参は「お持ちになる」または「持参される」のいずれかに統一します。
お送りさせていただきます
要注意「お〜する」「させていただく」が二重に丁寧で過剰です。相手の許可が必要ない動作は「お送りいたします」「送付いたします」が簡潔。
ご一緒させていただきます
要注意「ご一緒する」自体が謙譲表現。「させていただく」を重ねると過剰になります。会食やイベントでは「ご一緒します」「お供します」が適切。
ご査収のほど
正しい「査収」は中身を確認したうえで受け取ること。書類や請求書を送る際の定番表現です。確認が不要な軽い添付には大げさなので「ご確認ください」を選びます。
お力添えいただきますよう
正しい相手の協力を依頼する締めくくりの定番表現。具体的な行動依頼の前に置くことで、押し付けがましさを和らげながら正式さを保ちます。
お手数おかけしますが
正しい依頼や催促の前置きに使う緩衝表現 (クッション言葉)。本文を直接的にすると角が立つ場面で 1 行追加するだけで印象が大きく変わります。
ご無沙汰しております
正しい長くやり取りが途切れた相手への定番の挨拶。半年〜1 年以上空いた場合に自然に使えます。冒頭で関係性を確認しつつ本題に滑らかに入れます。
取り急ぎお礼まで
正しい短いお礼メールの結語。本文が長くなりすぎず、すぐに連絡したい場合に有効。フォーマルな相手にはやや軽いので「まずはお礼を申し上げます」を選びます。
お時間いただけますでしょうか
要注意「ます」+「でしょうか」は丁寧表現が二重に重なっています。簡潔な「いただけますか」または「お時間いただけませんか」のほうが自然で品があります。
ご教授ください
要注意「教授」は学問や技芸を継続的に伝授する意味。日常の質問や情報提供のお願いには「教示」(知らせる) を使います。誤って「教授」を使うと大げさに響きます。
ご一読いただければ
正しい資料・記事への目通しを軽くお願いする表現。「お読みください」よりも控えめで、相手の時間に配慮した依頼になります。
ご検討のほどよろしくお願いいたします
正しい提案・依頼メールの定番締め。具体的な期日が必要な場合は「〇月〇日までにご検討のほど」を加えると曖昧さが減ります。
お力になれず申し訳ございません
正しい依頼や相談を断る際に使うクッション表現。理由を添えることで角を立てず関係性を維持できます。「ご期待に添えず」と組み合わせるとより丁寧。
各位様
要注意「各位」は複数の相手に敬意を表す語で、それ自体に「皆様」の意味を含みます。「様」を付けると敬称が二重になり違和感があります。
〇〇部長様
要注意役職名 (部長・課長・社長など) には敬称の意味が含まれます。「様」を付けると敬称重複。「〇〇部長」または「部長 〇〇様」のいずれかが正しい表記。
弊社 / 当社 / 自社
正しい外部向けには謙譲語の「弊社」、社内向け文書や中立的場面では「当社」、社内議論で自社を客観視するときに「自社」を選びます。混在すると一貫性が崩れます。
貴社 / 御社
正しい「貴社」は書面用、「御社」は口頭用が原則。商談・面接など話し言葉では「御社」、メール・契約書など書き言葉では「貴社」を選ぶと違和感がありません。
お名前を頂戴できますか
要注意「頂戴する」は「もらう」の謙譲語で、本来は物の授受に使います。名前は「もらう」ものではないため「お伺いする」「教えていただく」が適切。
ご質問はございませんでしょうか
要注意「ございます」+「でしょうか」は丁寧表現の二重重ね。「ございますか」「おありでしょうか」のいずれかに整えるとすっきりします。
お読みいただきありがとうございます
正しいブログ記事やニュースレターの末尾で読者に向けたお礼の定番。読んだという行為に感謝することで再訪意欲を高めるシンプルな結びです。
ご足労いただき
正しい相手にわざわざ来てもらった労に対するお礼の常套句。打ち合わせ後・来社後のお礼メールで「ご足労いただきありがとうございました」と使います。
ご清聴ありがとうございました
正しいプレゼン・スピーチの締めの定番フレーズ。「清聴」は他者が静かに聞くこと、「静聴」は静かにせよと求めることなので、聞き手への感謝には「清聴」を選びます。
お待ちしております
正しい相手の来訪・連絡を心待ちにしていることを伝える謙譲表現。打ち合わせ確定後や問い合わせ案内の締めに置くと、温かく前向きな印象を与えます。